事務所概要

事務所名
宮田良一税理士事務所
所長名
宮田 良一
所在地
東京都港区東新橋
2-10-10
東新橋ビル410号
TEL03-6435-8453
営業時間9:30~18:00
(月曜日~金曜日)
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情報処理業、卸売業、小売業、ホテル業、飲食店業、旅行業、商社、人材派遣業、介護事業、運送業、金融業
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国外居住者を扶養親族等にする場合

概要

所得税を計算する上で、所得から扶養控除や配偶者控除の金額が差し引かれますが、この対象となるのは、生計を一にする一定の親族や配偶者のうち年間の合計所得金額が38万円を超えない者で、青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないことされています。

従って、条件さえ満たせば国外にいる一定の親族や配偶者についてもその対象とすることが出来ます。

会計検査院が指摘した問題点

会計検査院が言うには、平成24年分の所得税の確定申告書等における扶養控除の申告額等が300万円以上と多額になっている納税者が1,576人いるそうです。
このうち、国外扶養者を含む納税者が1,296人で、扶養控除の適用条件を確認するための書類の提出状況をみると、続柄証明書類を提出している納税者が1,077人、送金証明書を提出している納税者が1,132人、いずれも提出していない納税者が56人だったそうです。 

会計検査院は、続柄証明書や送金証明書類が税務署に提出されていなかったり、提出されていても、国内扶養親族の場合と異なり申告した年における控除対象扶養親族の生存の有無及び住所を確認出来なかったり、納税者の友人等の第三者を通じるなどとして現金を手渡したとする申立書のみが提出されていて送金の事実が確認できないなど、控除対象扶養親族の要件をみたしているかについて税務署が十分確認出来ない状況になっていたとしています。

平成28年から取扱変更の内容

会計検査院の指摘に対応するような形で、平成28年分から所得税の確定申告において国外居住親族について、扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除又は障害者控除の適用を受ける場合は、親族関係書類及び送金関係書類を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際に提示しなければないことになりました。 

つまり、国外に住む親族を控除対象扶養親族するときは、証明する書類を添付することが義務づけられた訳です。

日本人の子供が外国に留学している場合なども対象になります。
日本人の場合は親族関係書類としては戸籍の付票などと旅券写しで続柄を証することになっていますが、これは問題にはならないでしょう。あとは送金記録を提出すればよいという事になります。

外国人の場合は「外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(その国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)」と規定されていますので、これに即した書類を入手してもらうと言うことになります。

従業員に国外居住親族を持つ人がいる場合には、気をつけなければいけませんね。

実務上の留意点

 1.ポイントは二つ

毎月の給与から控除する所得税の計算をするときは、「給与所得者の扶養控除等申告書」に記載された事項を基に算定しますが、国外居住親族については証明書を提出してもらった者のみが対象になると言うことです。平成28年1月分の給料から、源泉所得税の計算をする時の扶養数には、親族関係書類の提出がない国外居住親族を加えてはいけないこととされました。

もう一つは年末調整をするとき扶養控除等の適用をする場合には、送金関係書類をもらわなければいけないと言うことです。

 2.送金関係書類

次の1又は2の書類とされています。

  1. 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引によりその納税者からその国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類

  2. いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、そのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等及びその商品等の購入等の代金に相当する額をその納税者から受領したことを明らかにする書類

金融機関は原則銀行という事になりますが、登録された資金移動業者でも良いことになっています。

個人では資金移動事業者になることは出来ず、平成27年9月30日現在で登録されている資金移動事業者は42社となっています。
今までの様に、第三者が手渡ししたというような書類ではだめだと言うことです。

2のクレジットカードについては、どのように運用するのかよく分からない点もあります。
説明ではクレジットカード等を国外居住親族等が提示し又は通知して(ネット販売を想定しているのでしょう)商品その他を購入し、その支払いを居住者が行ったとする書類、つまりクレジットカード利用明細書などがそれに該当すると言っていますが、国外居住親族等が提示したことがどのように証明できますでしょうか? 証明できなければだめだということになるのでしょうか? 
その辺の所はまだまだ明らかではありません。

いずれにせよ、会社の給与担当者にとってはやっかいな判断をすることが課せられたという意味では、今回の改正は負担になること間違いないです。

 3.源泉徴収票

個人が確定申告をする場合とは異なり、会社が従業員にお給料を支払って所得税の源泉徴収をし、又は年末調整を行う場合には、その所得税の徴収義務は会社にあります。
適正な徴収を行っていなくて、あとで税務署に指摘をうけても、その時に従業員が退職して、出国している場合などは会社が負担する事になってしまいかねません。
国外居住親族に関する書類についてはきちんと確認するように致しましょう。